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・限界まで追い込んでるのに、なかなか筋肉が大きくならない。
・ネガティブを意識してた方が良いって聞いたから実践してみたけど効果出てるのかな?
この記事では、こういった疑問にお答えします。
せっかく筋トレをしているのに、効果が半減してしまう筋トレの方法を解説していきます。 以前は、当たり前とされたことも最新の研究で覆ることが多いです。
効果のない筋トレ1:スロートレーニング
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効果のない筋トレ方法の一つ目は、「スロートレーニング」です。
スロートレーニングというのは、ゆっくり上げてゆっくり下ろす、筋力トレーニングの方法です。
実際にやってみると、ゆっくり動かす方が筋肉には効いているって感じがありますので、
スロートレーニングをお勧めしてる方も多いです。
実際に動作速度によってトレーニングの効果は変わりますが、スロートレーニングは効果が通常より下がってしまいます。
これは、2001年のジョージワシントン大学の研究で明らかにされました。
下記の表は、各トレーニングを4秒かけて行った場合と、8秒かけて行った場合の筋力アップの割合を比較したものです。
4秒かけて行った場合 | 8秒かけて行った場合 | |
ベンチプレス | 34%UP | 11%UP |
プルダウン | 27%UP | 13%UP |
レッグプレス | 33%UP | 7%UP |
どちらもトレーニングによって筋力が向上していますが、
圧倒的に4秒の速度で行う通常の筋力トレーニングの方が効果があったという結果です。
では、筋肥大についてはどうでしょうか。
マクマスター大学から発表された研究で、こちらも通常のトレーニングの方が効果が高いことを示しました。
20代を対象にアームカールを行ってもらい、
トレーニングで運動速度を1秒以内で行うファーストトレーニンググループ、
運動速度を8から9秒に設定したスロートレーニンググループで、筋肥大にどの程度差が生まれるのかを比較しました。
ファストトレーニングもスロートレーニンググループもどちらの筋肥大が認められましたが、ファストレーニングでより高い筋肥大効果が見られました。
筋力という観点から見ても、筋肥大という観点から見ても、
スロートレーニングは従来のトレーニングに効果を劣るというのが結論になります。
筋力、筋肥大のどちらに対しても効果が高いのは
ファストトレニング(4秒) > スロートレーニング(8秒)
筋トレ効果をもっとも高めてくれる筋トレ速度は4秒以内
では、実際にどの程度の速度がもっとも筋トレの効果を高めてくれるのでしょうか?
2015年のニューヨーク市立大学は、運動速度0.5秒~4秒、運動速度4~8秒、8秒以上の運動速度で効果比較をしました。
結果は、8秒以上の運動速度に優位な効果はなく、最も効果が高いのは、0.5~4秒の間に行うファストトレーニングでした。
ただし、4~8秒の運動速度のトレーニングの間に有意差はなかったということですので、8秒以内の速度で行えば筋トレの効果を損なうことはなさそうです。
私自身は、アームカールを行う時は、1秒で肘を曲げ、3秒かけて肘を伸ばしていく意識をしています。
あまり早すぎると、使用している筋肉を意識しづらいですし、怪我にも繋がるので注意して下さい。
効果のない筋トレ2:ネガティブを意識する
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効果のない筋トレ方法の2つ目は、ネガティブを意識した筋トレです。
筋肉には運動方向に合わせた2つの収縮様式というのがあります。
分かりやすくいうとアームカールをして、
求心性収縮:肘を曲げたときに上腕二頭筋が固くなり、筋肉を短くしている
遠心性収縮:肘を伸ばした時に上腕二頭筋が耐えて、筋良くを長くしている
筋トレ用語で求心性収縮のことをポジティブ、遠心性収縮のことをネガティブと言います。
ネガティブを意識したトレーニングが効果的と、耳にした方もいるかと思います。
しかし、現在の科学では否定的です。
ネガティブを意識したトレーニングは、感覚的には追い込んでる感が強くなるかもしれませんが、筋肉的には全く意味がありません。
もともとネガティブな動作が筋トレには効果的と言われているのは、ポジティブよりもネガティブの方が、重い重量に耐えられることが挙げられます。
この感覚によってネガティブを意識するとパワーが上がっている感覚を得られるのですが、
実は、重い重量に耐えられるのは、筋繊維の内部にバネのような物質があり、それが作用しているためです。
つまり、筋肉自体の力で重い重量に耐えている訳ではないの、トレーニングの効果として何も変わらないということです。
ポジティブを意識したトレーニングと、ネガティブを意識したトレーニング効果を比較した研究がありますが、結果としては、どちらも効果はありますが、優位な差はありませんでした。
ただし、ネガティブを意識したトレーニングは疲労感を感じやすいということが分かっていますので、あえてネガティブを意識してトレーニングをするメリットは今のところありません。
効果のない筋トレ3:限界まで追い込む
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効果のない筋トレ方法の最後は、限界まで追い込むトレーニングです。
よく筋肉系ユーチューバーの方の動画を見ると、潰れるまで追い込む方が良いと解説していることがあります。
確かに、実際に追い込むことによってメリットもあります。
ギリギリ8回が上がる重量で筋トレをした場合、テストステロンの分泌量が向上、筋力が向上するなどの効果を得ることが出来ます。
しかし、筋肉を大きくしたいという目的でトレーニングをするならば、筋ボリュームを重視する必要があります。
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10kg×10回×2セット=200
筋肥大には、この筋ボリュームを増やしていくことが重要になります。
この筋ボリュームの数値を変えていかなければ、どれだけ回数や重量変更したとしても筋肉
はつかないということが分かっています。
逆に言えばどれだけ負荷量が低くても、この筋ボリュームを増やしていくことによって
筋タンパク質の合成率が高まることも研究で分かっています。
1RM 90%(5回が限界)の重い負荷でのトレーニングを行った場合 【710】
1RM 30%(14回が限界)の軽い負荷でのトレーニングを行った場合 【1073】
結果は、筋ボリュームの多い(軽い負荷での)トレーニングの方が筋タンパク質の合成が高くなったということです。
ということになります。
重い重量で短時間で終わらせるのか、軽い重量でメンタル的な負担も減らして習慣化することを優先するのか、個人のライフスタイルや目的に合わせて柔軟に変更するのが良いと思います。
習慣化するには、週4回以上、4週間程度は続ける必要があるので、継続しやすい方を選んで下さい。
筋トレは1部位 週に120回~210回が理想
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では、実際にどの程度の筋ボリュームで行うと筋肉がつきやすいかというと、
1部位を一週間で120回~210回の範囲で鍛えることが最適になるという研究があります。
初心者:120回
上級者:210回
セット回数の研究では、
1週間:5セット~23セットの範囲で鍛えることが良いとされています。
23セットを超えると、筋疲労が強くなり過ぎ、筋肥大が起こりにくくなるということです。
具体的なスケジュールにすると、
1週間に4回トレーニング
10回×3セット
でセットを組むと、120回の回数を行うことが出来ます。
ちなみに、この120回というは、一部位に対するトレーニング回数になります。
まとめると、
1週間に5~23セット
回数を120~210回になるようにトレーニングを行うと筋肥大が最大化する
あくまで、効率良く筋肥大させるための回数になりますので、
この回数より少ないと筋肥大しないかというとそういう訳ではありません
とにかく、重いものを持ち上げて追い込めば良いというものではない、ということです。
意識することは「筋ボリューム」です。
2010年以降の研究では、追い込むことに意味がないということが分かっています。
めちゃくちゃ重いものを持ち上げて、力を使い果たした結果、その後トレーニング出来ないと
筋ボリュームを稼げないので、結果的に筋肥大が遠のいてしまいます。
近年では1RM 60~70%
全力の60~70%の力で筋トレをすることが最も効率が良いということが分かっています。
では、この全力の60~70%がどのくらいなのかというと、
大体、10回が限界という負荷量になります。
重量を設定したい時には、一度自分が持ち上げられる限界の重さを試して
その7割くらいの重量で10回行ってみて下さい。
10回上げてみて、キツいと思わないようならば、もう少し重量を増やすという感じです。
トレーニングを習慣化するために、トレーニングを計画するならば、
・1週間に4回トレーニングを行い
・1セット 10回
・10回で限界となる重さで
・トレーニングを3~5セット行う
以上が最も効率的な筋肥大のためのスケジュールとなります。
まとめ
今回は、3つの効果の無い筋トレを解説しました。
1.スロートレーニング
2.ネガティブを意識したトレーニング
3.限界まで追い込むトレーニング
この3つのトレーニング方法は筋肥大を狙ううえでは、効率的とは言えないトレーニング方法です。
カッコいい体を手に入れるには、野性的なメンタルと正しい知識が必要になります。
ぜひ、一緒にたくましい筋肉を手に入れましょう。
それでは本日は以上です。
ありがとうございました。