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・最近、筋肉の成長があまり感じられないなぁ。
・もっと効率よく筋トレしたいよ。
と思うことはありませんか?
もしかしたら、筋力が上がってないために、重量を伸ばせてないんじゃないでしょうか?
今回は、筋肥大を効率的に行わせるためのテクニックをご紹介したいと思います。
まず、筋肥大させるトレーニングと、筋力を増強させるトレーニングは全く違うことはご存じでしょうか?
負荷量を少しずつ増やすことでボリュームを増やし、年齢によって筋トレ頻度を調整する
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【結論】
負荷量を少しずつ増やすことでボリュームを増やし、年齢によって筋トレ頻度を調整する
これからの理解を深めるために、簡単に筋力の説明をします。
筋力増強のメカニズム
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筋実質の大きさ
筋肉が大きくなれば、筋力も上がります。
しかし筋肉の大きさは50~60%程度しか影響してません。
ある程度筋肉を大きくしても一定以上は筋力は上がらなくなります。
しかし筋肉のサイズが大きくならなくても、筋力は別の理由から上がります。
神経系の強さ
筋力を構成する要素として、神経系の影響も大きくあります。
運動を行う時には、脳の大脳皮質の運動野という領域から電気的興奮が走り運動神経と呼ばれるα運動ニューロンを介して筋肉に伝わります。
この神経系の興奮を強めることこそが、筋力を強くするために必要であり、筋肉を大きくするより重要な要素になります。
・筋力というのは、半分は筋肉の大きさにより、もう半分は神経筋の反応の強さによって決まる。
筋肉を大きくするためのトレーニングをしていても、筋力の半分の半分の要素しか高めていないため本当に使える筋肉を獲得するためには神経系の要素を組み合わせたトレーニングもする必要があるということです。
それではここからは、神経系を高めるためのトレーニング方法を解説していきます。
神経系を高めることはより重い重量を扱うことにも繋がり、筋力だけでなく、筋肥大を効率化するためにに役立ちます。
筋力増強の為に神経系の要素を高めていく
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筋力増強の訓練方法です。
始めの結論でも言いましたが、負荷量をコントロールしながら、筋ボリュームを高めるのが基本となります。
筋肥大を狙うなら10回が限界の重量で行う
通常、筋肥大を狙うトレーニングというのは10回が限界という中等度の負荷量で行うのが最も効果的です。
ただしこれは筋肉を大きくするための負荷量であって、筋力増強を最大化するための負荷量ではありません。
2017年のニューヨーク市立大学の研究によって、高負荷の筋力トレーニングによって筋力増強がすすむという結論が出されました。
筋肥大には中等度の負荷、筋力増強には高負荷のトレーニングが必要ということです。
筋力増強に関する論文では、
筋力増強が得られる負荷量としては1RM90%であり、
筋力増強効果が得られる最低値としては1RM70%という結果でした。
(1RM100%=1回が限界の重量)
筋力増強効果を最大限にする筋トレの強度とは、3回が限界という重量でトレーニングを行うこと
以上が神経系を高めるための負荷量の設定方法になります。
そして、これに追加して筋ボリュームを高める必要もあります。
筋ボリュームというのは重量×回数×セット数の総量のことを言います。
筋ボリュームも高める
最近の理論では、筋肥大率を高めるためには考え方がベースになっています。
2017年の西スコットランド大学の研究により、
筋ボリュームを増やした方が、筋力も向上しやすいという結論が出されました。
具体的には1RM90%の負荷量で週に10セット以上行う高回数セット群と
週に5セット以下の低回数セット群では、
高回数セット群の方が20~25%ほど高い筋力増強が認められたそうです。
筋力を強くしたいという方は、重量だけでなく
筋ボリュームを高めることが重要になってくるということです。
1RM90%の3回が限界という負荷量で
週に行うセット数を増やし筋ボリュームを高めていくことが
筋力増強効果を最大化させるベースとなります。
そしてこれに追加して
筋トレの頻度を調整することで、筋力増強効果を最大化させることができます。
具体的に、この筋トレ頻度の調整をするかしないかで
筋力増強効果の伸び率が30~77%ほど変わってきます。
つまり筋力を強くするという目的があれば、筋トレ頻度の調整は行うべきです。
筋トレ頻度の調整とは
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それではここからは、筋力増強に適した筋トレの頻度の調整の解説です。
まずは筋力増強効果を最大化するために、週何回の筋トレを行うべきかというと、
年齢によって変わってくる、というのが結論になりだけ。
筋トレ頻度を上げた方が良いのは若い人だけ
ヴィクトリア大学が行った研究によると、
筋トレの頻度が高くなればなるほど筋力増強効果が高まるというのは、若年者に限定されます。
上半身のみですが、頻度を上げるほど筋力が向上するという結果でした。
運動の種類としては、単関節運動では頻度との関与は見られず、多関節運動でのみ筋トレの頻度を増やすことによって筋力増強効果が向上するという結果です。
(単関節運動=肘を曲げるだけの運動だったり肩を上げるだけの一つの関節の運動)
下半身のトレーニングにおいても頻度を増やすことによるメリットはありませんので
高頻度で、筋力増強を狙ってトレーニングをするのであれば上半身が有効となります。
そして単関節運動の頻度を上げたとしても筋力増強効果は上がりません。
筋トレの頻度を増やすことによるメリットを享受したいのであれば、ベンチプレスなど多関節運動を行う方が良いでしょう。
基本的には週のトレーニング頻度を増やすことによって、筋ボリュームを増やすことにつながりますので筋力増強効果は上がります。
ただし筋肥大とは違い筋力増強を目的にしたトレーニングというのは、
高強度で行う分どうしても関節や筋肉に負担がかかりやすくなってしまいます。
特に中年男性には怪我につながる恐れがありますので、筋トレの頻度を上げる際は注意が必要です。
計画的に筋ボリュームを増やしていく
筋肥大には筋ボリュームをとにかく上げることが重要ですが、
筋力増強に関しては頻度を調整しながら、筋ボリュームを計画的に上げていくことが大切です。
一定の強度でトレーニングを続けたとしても、
体は次第に、その強度に慣れていってしまい筋肉の神経系の変化というのは見られなくなってしまいます。
これを回避するため、1年間のトレーニングを計画的に行うことが重要になってきます。
トレーニングのマンネリ化を防ぐためにも重要な方法ですので、筋トレ中級者上級者の方はぜひ短期的長期的なトレーニング計画を立ててみて下さい。
2022年にコペンハーゲン大学から研究が発表されています。
筋肥大に関しては筋ボリュームの積み重ねが重要であるという一方で筋力増強に関しては短期的長期的なトレーニング計画を立てることで、計画しないグループより筋力増強が見られたという結果が出ています。
参考となるトレーニング計画
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期的長期的なトレーニング計画を立てる際の参考に、実際の研究内容をお伝えします。
2014年の研究です。
対象:トレーニング歴7年のエリートパワーリフター
期間:16週間
トレーニングの種類:ベンチプレス、スクワット、デッドリフト
具体的な方法:
1~4週 | 5~8週 | 9~12週 | 13~14週 | 15週 | 16週 | |
1種目:〇セット | 10セット | 8セット | 6セット | 6セット | 6セット | 4セット |
1セット:〇回 | 6回 | 4回 | 4回 | 2回 | 1回 | 4回 |
セット間休憩 | 3~5分 | 3~5分 | 3~5分 | 3~5分 | 3~5分 | 3から5分 |
強度 | 1RM65% | 1RM75% | 1RM80% | 1RM90% | 1RM95% | 1RM70% |
このように段階的に、少しずつ負荷を上げていく研究が行われました。
初めは中等度の負荷で行い、時間をかけて高負荷なトレーニングを行っていくというトレーニング方法です。
これを行わない群と比較すると、
ベンチプレスの筋力は30%向上し
スクワットは34%向上
デートリフトは77%も最大発揮筋力が向上したという結果がでました。
トレーニング歴7年のエリートパワーリフターでも30~77%の筋力増強が見られたという結果です。
この研究では、4ヶ月間という比較的短期間でパワーリフターの筋力増強を可能にしています。
筋力を効率よく、強くしたという方は、このトレーニングメニューを参考にしてみてください。
まとめ
筋力増強効果を最大限まで高める方法です。
1RM90%(3回が限界の負荷量)
週のセットは10セット以上
筋ボリュームを高めていくことが重要。
さらに年齢や部位によっては筋トレの頻度を調整しながら
自分にあった短期的長期的トレーニング計画を作成して下さい。
扱い易い重量を増やすということは、筋トレの強度を上げることにもつながります。
筋トレ強度を上げるということは、日々の筋トレの質が向上し
筋ボリュームの向上になりますので、筋肥大率を高めることにもつながります。
週の中で、筋力増強目的のトレーニングを取り入れることも
日々のトレーニングに刺激を与え、筋トレの継続やモチベーションの向上になります。
自分にあった筋トレ計画を立てていきましょう。
ありがとうございました。